映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

RKSS監督「サマー・オブ・84」2488本目

フランソワ・シマール、アヌーク・ウィッセル、ヨアン=カール・ウィッセルの3人による「RKSS (Roadkill Superstars)」という最低な名前の映画監督ユニットによる作品。

トラウマ映画として知られているので、おそるおそる見てみましたが、これはじんわりと実に面白い作品でした。怖さも半端ないけど、

<以下突然ですがネタバレ>

怪しそうだけど無実と思われる人物が実はやっぱり犯人だったり、信用して近づいてしまった子どもたちが無残な方法で殺されていたりするのは、怖い一方でかなり既視感もあります。「ラブリーボーン」のほうがよっぽど怖い部分もある。だけどこの映画の、並み居る子ども虐待ホラー映画と違うのは、「生かしておくから一生びくびくしてろ」って犯人が脅した上で生かして逃げるところですよ。想像するに、監督ユニット3人で「一番怖いホラー映画の結末ってどういうのだと思う?」って何時間もバーで飲みながらあーでもないこーでもないと知恵を絞り合って、小生意気なチビ探偵が犯人に「殺されない」結末じゃない?というところに収まった…みたいな感じだったりして??

よく考えると、「To be continued」と続編が何本も作られるようなサスペンス映画はみんなこんな感じで、カンバーバッチのシャーロックなんかもいつもこうだったんだけど、この映画の続編が作られたら「そうじゃないだろう!」って思ってしまいそう。子どもを脅すから怖いのであって、大人になってしまったらシャーロックだもんね。

この監督ユニットって面白くて、ググると彼らのInstagram投稿とかが見られますが、みんな日本好きでポップでキッチュなものが大好き。本気で怖いホラーを作って脅かしてやりたい監督でもないし、サイコな人たちでも、もちろんありません。なんとなく明るさがコーエン兄弟みたいな感じ。映画の面白みを追求してくれそうで、これからが楽しみです。

サマー・オブ・84(字幕版)

サマー・オブ・84(字幕版)

  • 発売日: 2019/11/20
  • メディア: Prime Video