映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ヴィム・ヴェンダース 監督「世界の涯ての鼓動」2497本目

滞在型のこういう素晴らしいホテルに、仕事で泊ったり、ツアーで立ち寄ったりすると、「たまたま泊まってる素敵な独身男性と恋に落ちたりしたら素敵なんだけどな~」と妄想するような、知的で冒険心の強い二人の恋。世界中のさまざまなところへ動線をのばす彼らが、出会えたことが奇跡だ。

ホテルを出る、というだけの別れが今生の別れになるかもしれない。戦地へ赴く夫を送る妻みたいに女は泣く。そして、男は考えうる最悪の状況に陥る。

女の方も、安全ではなかった。

…これって、二人が天国へ行く前のうたかたの楽園っていうお話?

科学者ダニーを演じたアリシア・ヴィキャンデルと、技術者ジェームズを演じたジェームズ・マカヴォイの二人が素敵で、それだけでも見ごたえがあるけど、カタルシスは与えられないきびしい映画です。だってヴィム・ヴェンダースだし。いや、二人は再会して幸せに暮らしたのかもしれないよ。(また二人ともどこか危険な血に赴いただろう、とも思うけど)

他の人たちはこの映画をどんな風にとらえたんだろうな。

世界の涯ての鼓動(字幕版)

世界の涯ての鼓動(字幕版)

  • 発売日: 2020/01/25
  • メディア: Prime Video