映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

山本薩夫 監督「にっぽん泥棒物語」2537本目

「にっぽん泥棒物語」というより「元泥棒と冤罪」って映画でした。

三國連太郎、こんな若い二枚目のうちから、ロクデナシな泥棒の役なんかもやってたんだなー。悪徳刑事にアクたっぷりの伊藤雄之助。熱血な正義の弁護士は、なんと千葉真一。まだ肉体派の片りんもありません!

最初の?妻、市原悦子も明るくて愛嬌があるし、命を助けてめとった佐久間良子は素朴で可愛らしい。裁判官も人間味たっぷり、三國連太郎のふるさとなまり丸出しのトークは率直すぎて聴衆大爆笑。裁判っていっても、こういうのは「合議」って感じがちゃんとあっていいな。閉廷後の監修の拍手で、彼の”前科”は濯がれたと、見る者も安心できます。

裁判所が正義と悪を振り分ける本来の仕事をする場だと、偉い人はそもそも思ってないのかもな。そういう国を支配するのは民主主義じゃなくて一度権力を持ってしまった人の都合だ。今の日本も心配だな…。 

にっぽん泥棒物語 [DVD]

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  • 発売日: 2014/03/14
  • メディア: DVD