フリッツ・ラングのアメリカ時代の作品って、ハードボイルドっぽい流行りもののサスペンスにどんどん寄っていくなぁ。粗製乱造という感じではなくて、クールさとスリルが一貫しています。私わりとこの手、好きなんですよね。毎週金曜の夜とかに帯ドラマでやってほしい。
駆け落ちしようとしているトムの愛人が、バーで刑事グレン・フォードを待つちょっと荒んだ感じが、左幸子っぽい。グレン・フォードって不思議。ぱっと見、すごい二枚目っていう印象ではないのに、人をまっすぐ見つめる感じが眼を引くんですね。「八月十五夜の宿」、「カルメン」と純情な青年の役をやってたけど、実際はプレイボーイだったとかいうし、騙されちゃいかんですね!
悪党の情婦はグロリア・グレアム。私この人の出てる映画、まだ3本目のはずなのに、いつも見てるような気がする。鼻がツンとしてて、ちょっと生意気な感じがなんともチャーミング。
この映画の場合、「黒幕は誰だ?」という謎はなくて、正義で熱血なグレン・フォード刑事と女たちがからみつつ、「どっちが勝つのか?誰がやられるのか?」というスリルを中心に進んでいきます。女たちの暴走が目立つ映画なので、邦題の「復讐は俺に任せろ」はなかなかいいセンスだなと思いました。