<ネタバレだらけ>
やっと見た。あの大林監督の怪作と聞いてたけど、池上季実子!と大場久美子!が可愛いらしくて(檀ふみも!)池上季実子の父が笹沢左保だったり、新しいお母さんが鰐淵晴子(綺麗すぎてサイボーグ)。尾道三部作と同じように、少女たちの清純でデリケートな感情を美しく描いた作品じゃないですか。カキワリというより子どもの貼り絵みたいな背景、ゴダイゴのメンバーも出てたりして、少年少女の夢や憧れを詰め込んだ「学園もの・夏休み編」じゃないですか。
そして学校の場面のロケ地がまぎれもなく津田塾大学…知らなかった…廊下が似てるなーと思い、本館全景で確信。改装前のタイルが懐かしい。
華やかな女の子たちが「里山」バス停でバスを降りて南田洋子邸に向かう姿が、「ピクニック アット ハンギングロック」みたいで、不穏。
悪い予感は当たります。常にやたらと暗い室内。アニメーションと重ねたり、当時の特撮怪奇映画で使われていたような映像効果をふんだんに使って「いつもとちょっと違う」感を醸し出していて、なかなか面白い。全然怖くないというか、あえてあまり怖くしてない感じ。「タイム・トラベラー」みたいな昔のジュブナイルドラマの味わいです。なんで怖くないかというと、友達の首が飛んでても、友達の手首がホルマリン漬けされていても、「なんだか怖い気がするわ…ううん、そんなことない!」でスルーされるし、指や手首がなくなっていても「あら?ないわ」と笑顔。モンティ・パイソンかよ?あるいは大昔の「化け猫映画」とかはこういうテイストだったんじゃないか。
このくらいの薄い現実認識でいられたら気楽だろうな…。でも予想を超えて面白いです。今の私だからそう言えるだけで、10代のときに見たら「なにこれ?」って思ったかも…。
最後に新しい母となるべき鰐淵晴子が訪ねてくる場面が、無駄に長くファンタジックで、命を長らえることになんの価値も与えず「人の心に残り続ける…」で締めくくっちゃうのがまた面白い。普通の映画だと、彼女がもう少し早く着いてオシャレちゃん(名前の設定がないため鰐淵にまでオシャレちゃんと呼ばれている)と心を通わせて、思いとどめさせる…という流れになりそうなものだけど、この映画はとても斬新でした。こういうのを見ると、今の映画の価値観って古今東西問わず、わりと固まってるんだなということに気づきますね。
あーー面白かった!