映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

レオ・マッケリー監督「邂逅(めぐりあい)」2583本目

この作品は1939年。冒頭の「an RKO Radio Picture」っていう、地球に電波塔が立ってるタイトルロゴがキッチュで素敵。このあと1957年にケイリー・グラントとデボラ・カーで監督自身が撮りなおしてて、そっちも高評価。その後にも映画化されてて、不朽の名作といっても過言ではなさそうです。昔の映画って細部まで覚えてないのも多いんだけど、1957年バージョンはかなりよく覚えてます。かなり切ない気持ちになったんだよな~。

この作品の主演はシャルル・ポワイエ40歳とアイリーン・ダン41歳。57年版はグラント53歳カー36歳の年の差カップルだったけど、こっちは同年代で女性のほうがちょっぴりお姉さんです。実際見るからに強い女って感じ。気丈すぎる女性の切なさ、という筋を知ってる私としては、39年版のほうが良いキャスティングに感じられます。ただ、いかんせん、映像がちょっと物足りない。デジタル・リマスターをしたら見違えるほどきれいになるんだろうな、きっと。

彼女の名前はいつもテリー。39年の彼氏の名前はミシェル、婚約者は彼を英語式にマイケルと呼ぶ。(そこがもうNG)57年はニッキーで94年はマイク。男性の名前にだけバリエーションをつける理由は?

ちなみに、アイリーン・ダン(当時39歳)とケイリー・グラント(同33歳)はこの監督の1937年「新婚道中記」で夫婦役をやってますね。そのグラントを20年後に婚約中の男として使うのは、なかなかな中年キャスティングです!

39年版も57年版も、別の監督が撮った94年版も、待ち合わせの場所はエンパイアステートビル。彼氏はいつもプレイボーイだけど、39年版の子どもたちのコーラスを彼女が指導するくだりは、その後の映画にはなさそうです。

で、この39年版ですが、比較的若い二人だし、それほど悲壮感がなく明るさのあるしめくくりになっています。映画のわかりやすさ、感動しやすさの点では57年版がわりと好きかも…。

邂逅(めぐりあい) [DVD] FRT-164

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  • 発売日: 2006/12/14
  • メディア: DVD