映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

J.A.バヨナ 監督「永遠のこどもたち」2601本目

よくできた映画でした。このラテン的情緒、現実と怪奇やファンタジーに垣根がない感じがすごく、なんというか、体質に合うんですよ。

<ネタバレあり>

よくあるミステリアスな映画みたいに始まるけど(※私はその手は総じて好き)、坊やの宝探しゲームが「リアル脱出ゲーム」みたいによくできてたり、ソーシャルワーカーを名乗るベニグナに(母の妄想の存在でも、母が錯乱して殺したのでもなく)街で再会する(そして突然事故にあってしまう!ショッキング!)あたりから、妄想の世界から現実に引き戻されます。

霊媒師アウローラ、見たことあるなーと思ったら、ジェラルディン・チャップリンだ。この人、達者だなぁ。この存在感、ミステリアスなたたずまい。この役をほかの人がやっていたら、これほどの説得力はなくて、この映画はもっと安っぽくて、うさんくさいものになったかもしれません。映画の芯を彼女が作ってるのだ。スペイン語も普通に話していて違和感ないし。

母を演じたのは「海を飛ぶ夢」でハビエル・バルデムの協力者を演じた人だ。少しだけ暗さがあるけど、まっすぐ目を開いて見つめる感じが凛としていて素敵です。

2度目の宝探しも、スペイン語の「だるまさんがころんだ」もスリリングだなぁ!ちょっと「パラサイト」かよ?というような秘密の部屋…ぐるぐる回りながら霊たちを追い払おうとする母。…半年もたってるんだよ。いるわけないじゃん。。。

幼くして亡くなった子供たちの、可愛いままの霊がなんとも切ないです。

ギレルモ・デル・トロの世界なんだよなぁ、この、可愛くて怖い子供たちの世界。残酷だけど愛にあふれていて、独特の味わいが後を引きます。かなり好きな世界でした。 

永遠のこどもたち (字幕版)

永遠のこどもたち (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video