世界二大可愛いレイチェル(※私見)が二人そろって出演してる!それに意味深なDVD画像。これは見なければ、というこのドキドキ感。(私ほんと女優さん好きだなぁ、男優さんより好きな人がずっと多い)
この映画はイギリス郊外のユダヤ人街(Northern Lineの北の方のGolders Greenあたりかしら)のユダヤ教高僧の娘ロニート(レイチェル・ワイズ)と、その幼なじみの少女エスティ(レイチェル・マクアダムス)が恋に落ちてしまった話。二人のことが高僧に知られてしまい、ロニートは黙って家を出てNYで暮らすようになる。残されたエスティは、やがて同じく幼なじみのドヴィッドと結婚して女学校の教師となり、それなりに充実した生活を送っている。高僧が亡くなり、エスティがNYのロニートを呼び戻すことで物語が動き出す…。
<以下ネタバレあり>
最初は家を出てかえりみないロニートが「冷たい家出娘」として扱われる場面。彼女は愛したエスティとドヴィッドが結婚していたことを知ってショックを受けるけど、やがて、むしろエスティがロニートを慕い続けていて、葬儀をきっかけに彼女を呼び戻そうとしたことがわかってきます。ロニート以外の人を愛したことはないと。二人は再び熱い関係に陥っていきます。十分に人目を避けることすらしないほどに。
以前からずっとエスティを想っていたドヴィッドは人づてにそのことを聞いて最初は何かの過ちと思い、妻を問い詰めるんだけど、「私がずっとほしかったのは彼女なの」と涙ながらに訴える妻の情熱に、立ち直れないほどのショックを受けて、彼女を拒絶します。この態度は、以前高僧が娘たちのことを知ってショックを受けた姿と重なります。
でも愛は彼女たちのせいではない。ドヴィッドは自分の迷いをさらけ出して、決まりかけていたラビ職を辞すると宣言します。エスティは、ロニートへの想いだけに夢中になっていた自分に気づき、初めて夫の痛みを分かち合うことができ、打ちひしがれた彼を追っていって抱きしめます。夫も、エスティの一途な弱さ、彼女を守るために黙って街を出たロニートの強さを知って、後を追って出てきたロニートも抱きしめます。幼なじみ3人が抱き合う美しい場面。これは、高僧が最後に残した言葉…なんだっけ…変化を恐れるな、だっけ。違いを受け入れろ、だっけ。とにかく娘たちの愛を今は否定はしないよ、という愛にあふれた言葉でした。(そのことと、遺産をすべてシナゴーグに寄付したことは矛盾しないと私は思った)
ユダヤ教や同性愛がベースにあることは、説得力を持たせるための設定でしかなくて、許されない相手を愛してしまった人たちが、それを隠して世間と折り合っていくこととその綻び、そこからの破綻なのか再生なのか、を描くという意味ではとても普遍的な、人間性をテーマにした映画でした。
現実での年齢はワイズのほうは50歳でマクアダムスは41歳という開きがあったり、やたらとマクアダムスの女性らしさや弱弱しさを切り取るカメラ、というあたりからも、彼女の弱さや幼さが台風の目になっていることがだんだんわかってきます。無難な道を選んだけど、思いを隠すことも抑えることもできない。穏やかで優しいけど本心では強情。
そして最後には、そんな彼女を愛し、守りたいというドヴィッドとロニートの想いがこの先の彼らの人生を形作っていくのでしょう。ロニートは自分を想いながら亡くなった父の墓前にひとり立ち寄ってからNYに戻っていきます。
グザヴィエ・ドランの世界か。ロンドンはオスカー・ワイルドの昔から同性愛が比較的早く認められるようになった街だと思ってたけど、宗教が絡むと厳しいのか。
愛を胸に秘めたまま孤独に耐えて生きていけるのは、冷たいんじゃなくて愛情が深いからだ。この先ずっと、街の人たちの冷たい目に耐えながら生きていく夫妻のほうが心配だな。。。