映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

グレゴリー・ラトフ 監督「別離」2608本目

イングリッド・バーグマンがまだお嬢ちゃんという感じで可愛らしいです。

年上の妻子持ちにふらっと行ってしまったのね。バーグマンピアノ自分で弾いてますね?かなりうまい。初めて激しい曲を弾きまくる彼女を見ていたら、「熱き血潮に触れもみで」とうたった与謝野晶子を思い出してしまいました。彼の才能と彼女の才能がぶつかりあって溶け合うことに説得力があります。

妻が素晴らしいひとで、娘がまたすごく可愛い。なんか…不倫してた男が娘の病気や事故で我に返るって話、見たことある気がするな…。男って目先のことでしか大事なことを判断できないのかしら…(極論すぎですね、すみません)

娘の好きな曲が「間奏曲」、これを意味するIntermezzoが原題なんですね。間奏曲…人生における美しい休暇みたいなものか。この時代の不倫は、ゴシップ番組や週刊誌で書き立てられる汚れたものという感じはなくて、好きになっちゃったんだもん、という素直で清潔な感じがあります。でも本人たちの胸の中はどろどろしてるし家族の気持ちは真っ暗だ。やがては離れるべき運命…だから間奏曲。

美しくまとめた大人の恋のお話という感じでした。私は常日頃、不倫なんて他に楽しみがない人たちがするもんだとか豪語してますが、この二人は芸の道で同志としてつながったことから始まったので、そういうのとは違いますね…。

別離(字幕版)

別離(字幕版)

  • 発売日: 2020/06/01
  • メディア: Prime Video