映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

イザベル・コイシェ監督「ナイト・トーキョー・デイ」2621本目

「女体盛り」という大人の男たちの遊びがあると何かで見たことはあるけど、本当にやってた人ってどれくらいいるんだろう。私が最初に就職した会社では、海外出張のときに取引先(同じ日本人)を”男たちの遊び場”で接待するから、お前はここで帰れと言われた。昼間その取引先の人たちを観光に連れて回って、写真を撮ろうというときに、いちいち肩に手を回してくるのが嫌で、いつも仏頂面で写真に写ってしまった。その後ずっと、私ってなんて子どもだったんだろうって思ってたけど、逆にもうちょっとはっきり「もう少し離れてください」って言ってもよかったんじゃないかと今初めて思った。

冒頭がちょっと醜悪すぎて、しっかり見ようという気を亡くさせるんだけど、これはイザベル・コイシェの映画だ。女性としての視点があってのことだろうから、最後まで見てみよう。でも田中泯の言葉が一本調子だし(彼は「語らせる」べき人じゃないと思う)、ラーメン屋でおっさんが若い女をナンパするのもあり得ないし(監督は、ラーメン屋というところがいかにクールにあっさりとラーメンを食べて立ち去るだけの場所かを知らない)、原題がせっかく「Map of the sound of Tokyo」なのに意味不明な「ナイト・トーキョー・デイ」なんていう邦題をなんで付けてしまったのか。誰がどこで間違っちゃったんだろう…?

ストーリーは、東京のさまざまな「音」を拾いながら、あるサラリーマン(中原丈雄)が娘を死に追いやったスペイン人の夫(セルジ・ロペス)を暗殺しようとする話。サラリーマンが頼る部下(榊英雄)が見つけてきたスナイパーが、築地市場で働きつつ娼婦でもあり実はスナイパーという菊地凛子。彼女の唯一の友人がラーメン屋で知り合った田中泯。菊地凛子は妻を亡くして意気消沈しているセルジ・ロペスが経営するワインショップで彼と出会って恋に落ちる。でも実は、自殺した娘が本当に愛していたのはその部下(榊英雄)ではないかという示唆もある(トイレで「消音機」をオンにして泣いている場面がある)

菊地凛子がいつもはむはむと食べているのは、外国人が「mochi」と呼んで珍重する「雪見だいふく」だろうか。なんか、日本について知ってることを全部並べたような映画だよなぁ。ホテル・バスティーユ(監獄?)という名前のラブホテルは日本で撮影したんだろうか。スペインにはないだろうから日本だろう、、、。

 最後まで見たらそんなに醜悪ではなかったです。でも菊地凛子も同じキャラクターばかりという気がするので、コメディエンヌとかやってほしい気がしてきました。 

ナイト・トーキョー・デイ

ナイト・トーキョー・デイ

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video