映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ショーン・S・カニンガム 監督「13日の金曜日」2622本目

<ネタバレあります>

友人のInstagramで知ったピーター・ドイグというイギリスの画家の展覧会を見に行ってきたんだけど、彼の作品の中にこの映画のラストシーンをモチーフにした油絵が何枚かあるのだ。巨大な名画でモチーフがホラー映画ってそんなのあるのか!あるんだよ、というこの違和感のおもしろさ。そういえば私は肝心の、この知らない人はいない映画を見たことがない。ということで、帰宅してすぐAmazonプライムで見てみることにしました。

B級感と低予算感がたっぷりでタランティーノとか好きそうな感じ。映画はお化け屋敷のように、姿の見えない犯人によって次々にキャンプ管理者たちが惨殺されていきます。種明かしとしては他の人たちも書いているように犯人は「サイコ」と同じなのですが、かの有名なジェイソンはなんとまだ出てこない。ものすごく有名な映画なのに、それほど印象的なプロットも場面もないし、なんでそんなに大ヒットしたのか不思議。でも、最後の最後の湖に船を浮かべた生き残りの彼女が水面に向かって頭と腕を垂らす場面は、ピーター・ドイグが描きたくなる気持ちがわかるくらい、不思議に妙に絵として完成度が高くてすごく美しい。そこに唐突に一瞬だけ湖の底から現れる、半魚人のようなジェイソン少年。この映画の見どころはここだな…。この一瞬のおかげでこの映画は一種のトラウマ映画として永遠の命を持ったんだわ。ぶっちゃけ95分のうち90分はどうでもいい。最後の5分は映画好きには必見でしたね。

13日の金曜日(1980) (字幕版)

13日の金曜日(1980) (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video