ドラン監督の監督作品は最新作も含めて全部見たんだけど、ここで改めてこれを見直したくなりました。この母親、強烈だなぁ。ヒョウ柄のコートを着た関西のオバちゃんみたいな可愛いもんだ…と思えればいいけど、やっぱり重いな。私だって、こんなくだらない言い争いは日常茶飯事だったけど…。
元来の性格が鈍感で無頓着なユベールの母は、「普通の人々」で息子を愛せなかった母を思い起こさせる。逆に、「普通の人々」のお母さんにも、何かとっかかりがあれば残酷なだけの母親像にならずに済んだのかもしれない。
ものすごく怒鳴り合って傷つけあって、どっちもまったく譲らないんだけど、愛してるってちゃんと言いあうんだ、この二人は。すごいね、愛って。それは「I killed my mother」というタイトルの映画を作ることで、愛憎のうち憎しみのほうが昇華されたからだろうか。
「僕とユベールとお母さん」のお人形のお母さんの頬に、大粒の涙が張り付いてるのが切ない。
美しい映画だったけど、イメージしてたほどカラフルではなかった。で、思ってたよりもっと、いや再びかな、深い映画だなと感じました。