映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ライナー・ホルツェマー監督「ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男」2629本目

先日アレキサンダー・マックイーンのドキュメンタリーを見ましたが、こちらも才気あふれる美の巧者。マックイーンがどこか悪魔的で死や不穏を感じさせる作品を作り続けたのに対して、ヴァン・ノッテンの服は「着て出かけられる服」といいます。お値段やデザインが自分の職場や行先に合っているか?というのは置いといて、人間の体に沿って縫われていて無理のないデザインなのに見たことがないような美しさを感じさせる、素晴らしいデザイナーです。

で、マックイーンもそうだったけど、ヴァン・ノッテンも同性パートナーがいます。ヴァン・ノッテンはパートナーと25年に渡って、デザイナーとしてのキャリアの最初からずっとパートナーと一緒に洋服を作り続けているんですって。それが彼の洋服の安定した雰囲気を醸し出してるのかな。

芸術家が作り出すモードは、人間や布や舞台を使ったアートだと思う。超一流シェフのお料理は、食べられる素材を使って食べて味わえるアート。どっちも私は見て楽しめれば、それだけでけっこう幸せだな‥‥いや決して貧乏ってひがんでるわけでは…。