「白」でフィーチャーされてるジュリー・デルビーは「ビフォア・サンライズ」シリーズでイーサン・ホークと出会って恋に落ちるフランス女性だ。シリーズ最初の作品がこの映画の翌年なので、監督はこの映画で彼女を見初めたのかな。
冒頭の裁判の場面は、「青」で亡くなった夫が実は付き合っていた女性の職場だ。ジュリー・デルビーとポーランド人の夫は、夫の不能を理由に離婚調停中。…というこの夫のほうを中心に、今回の映画は進みます。特別目立つところもカリスマ性もない、普通っぽい男性です。彼は同郷の男と電車のホームで知り合って、彼のスーツケースに身を隠してポーランドへ。…あまり愛想のない人々、さむざむしい風景。なんとなくアキ・カウリスマキの映画に出てきそうな殺風景な美しさ。この主役の俳優の名前は、ズビ…ズビ…ズビグニエウ・ザマホフスキ(一生懸命ここで打ち込んだところで絶対覚えられそうにないけど、エキゾチックな映画人の名前って大好き)。どことなく愛嬌があってなんかいいですね、彼。監督は本当は、ポーランドで資金繰りができたらこの映画のポーランド撮影分みたいな映画を撮りたかったのかな。
嘱託殺人を持ちかけられて引き受けたけど、彼は実弾でなく空砲を打って一杯食わせます。そこから、死んでなくてよかった!と、映画の緊張感が緩んでいきます。なんか、これもいい映画だなぁ。全然こじゃれたフランス映画じゃなくて日本映画にあってもおかしくない、地に足の着いた人間ドラマだった。こういう風に、好きになったときにはもう監督や俳優が故人ということってけっこうある。クシ…キェヒ…とかいう監督の残した足跡をたどって ポーランド行きたくなるなぁ。フィンランドほどは寒くなさそうだし。。。
さて、「赤の愛」は一度見たけど再見してみよう。