「100分で名著」の講師やプロデューサーが名著について語るというNHK学園のセミナーに行ったとき、沼野先生か島田雅彦のどっちかがこの原作を推してたので読んだのだ。マストロヤンニはロマンチストなだけで。映画化したのがヴィスコンティでイタリア映画、というのがミスマッチに思えたけど、イタリア的な激しさがこの小説に限ってはロシア的な刹那感に合っていた気もします。イタリアに白夜なんてないので撮影はすべて室内のスタジオ。夜の10時に女性が一人で外で人を待つなんて、白夜でもなければできないから、この設定は必要なんでしょうね。
とてつもなく内向的な男と、感情の起伏がヤバいくらい激しい女の物語だと、原作を読んだときに感じたけど、映画では男の内向性がほとんど感じられない。小説のほうは独白がすごく多いんですよ、彼の主観で書かれてるから。そういうドロドロした部分がなくて、演じてるのがさっぱりとしたマストロヤンニだから、男のほうはくどくない。女の方はわりと小説のイメージどおりです。私から見るとちょっとコワイ。でも男も女も激しくロマンチストなんですよ、だからこういう芝居がかった恋に落ちそうな際で盛り上がる。
ジャン・マレーって強面ですね。居酒屋で踊ってた若者たちの動きが美しくて印象的でした。