映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ジョン・シュレシンジャー 監督「ダーリング」2645本目

ジュリー・クリスティとダーク・ボガート。そして、このジュード・ロウをチャラくしたような美形がローレンス・ハーヴェイか。この3人がとても魅力的。

ジュリー・クリスティの声ってこんなにハスキーだっけ。伊藤沙莉みたいで可愛いな。でもなんだか、イメージしてたより逞しく芯が太い感じ。ダーク・ボガートは「ベニスに死す」で見たのが最初だったので強烈に粘着質な印象を持ってたんだけど、「地獄に堕ちた勇者ども」とかで知的でエレガントな二枚目だと気付いてかなり今は順位を上げています(私の中の「素敵な男優ランキング」)。

ジュリー・クリスティ演じるダイアナは感情の起伏が激しく、天衣無縫であらゆる男性を惹きつける「ダーリング」。「今いちばんホットな女性」ってところですかね。わがままなビッチではあるけど、誰にでも永遠に愛されたいと願ってしまう気持ちは共感するし、自分に正直でいようとしつづけた結果、籠の中の鳥になってしまった彼女の苦痛はこれから何十年も続くと思うと不憫です。そんな激しい女性を演じきったジュリー・クリスティは表現力豊かだし、ダーク・ボガートの最後の表情も切ない。…いいなあ、いいよ、ダーク・ボガート。

そして、あれこれ調べて結局確信したのは、このあいだ見た「マイ・ブックショップ」で最後に一瞬だけ登場するエレガントなグレイヘアの女性はやっぱり現在のジュリー・クリスティだ。若いころイケイケで、80歳にして今もこれほど素敵でいられるって奇跡的です。