映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

アルフレッド・ヒッチコック監督「ハリーの災難」2653本目

<ネタバレあり>

ヒッチコック作品の中では、「サイコ」「裏窓」とかと同様、かなり昔見たうちの1つ。ことさら語られることの少ないこの作品をなぜ見たかは思い出せないけど、グラマーなブロンドと対極的なショートカットの少年みたいなシャーリー・マクレーンがすごく可愛く思えたことを覚えてます。いつかまた見ようと思ってたのがテレビでやってたのでだいぶ前に録画したもの。

冒頭から、彩度を上げすぎたデジタル写真みたいな紅葉の山。テクニカラーを誇るような鮮やかさです。銃声、そして小僧が死体を発見。ウサギを狩っていたおじさんの狼狽、やけに良いタイミングで通りかかるご婦人とのすっとぼけた会話。そう、私の記憶でもこの映画はヒッチコックなのに怖くない、マザーグースみたいに残酷で愉快な映画だった。

さきほどの小僧を率いて母のシャーリー・マクレーン登場。若くてスタイルがよくて、ヘルメットみたいな髪型。このときの紺のブラウスとベージュのタイトスカートが普通だけど素敵だったんだ。その後の濃い青のワンピースもよく似合ってる(というか紅葉、白い壁、緑の窓枠に映える)。最後にハリーを元の場所に戻したときの白いブラウスとサスペンダースカートも素敵。(衣装はイーディス・ヘッド)このとき21歳。まだ初々しい少女といった感じで可愛いです。横顔がすごく可愛いんですよ、鼻がちょっぴり上向きで。

で、埋めたり掘り出したりを繰り返した挙句、泥を洗い落としてきれいにしたハリーを放置したまま映画は終わります。ある意味、オチなし。でもカップルが2組生まれたし、誰も加害者じゃなかったことがわかったので、なんとなくハッピーエンド。でもこの人たち間違いなく「死体遺棄」で有罪だと思うんだけど…。 

ハリーの災難 (字幕版)

ハリーの災難 (字幕版)

  • 発売日: 2014/02/01
  • メディア: Prime Video