スペンサー・トレイシーとキャサリン・ヘップバーンが夫婦で2人とも弁護士。
妻が夫の浮気現場に押し入って発砲した事件の妻と夫をそれぞれ弁護することになってしまい…というコメディ。
いつもマッサージしあってて、仲のよさげな夫婦なんだけど、夫婦対決を法廷でやっちゃっては、それを家庭に持ち込むなというほうが無理…。めっちゃ気丈なキャサリンが家ではめそめそ泣いたり、泣いてもめげなかったりするのがコメディの王道的。
加害者の女性は子どもっぽい喋り方をするし、銃を撃ったときは「脅し」といって目をつぶって撃ちまくったという有様だったけど、法廷に「女性代表」?として呼ばれた女史(死語?)たちはそうそうたる肩書の才女や、男性を片手で持ち上げる怪力女性。裁判に勝つために手段を問わないキャサリンにスペンサーはとうとうブチ切れて家を出ます。
それでも一歩も引かないキャサリン。浮気するのが男なら許される世の中のおかしさを、見事なスピーチで訴えていきます。
この映画、カメラワークが愉快なんだよな…。怪力女に持ち上げられたスペンサーの視点で見下ろしたり。向かいの部屋に住んでいる男と浮気してると誤解されて大喧嘩を始めたあとで、バタン‼とドアを閉めてあと、ドンガラガッシャン(死語)と音だけ聞こえるアパートの廊下をカメラが動き回ったり。
演技派かと思ったら「ウソ泣きの天才」だったスペンサー・トレイシー弁護士!っていう最後のオチも可笑しい。あれだけ妻に法廷でしてやられて、腹は立つけど卑屈にならないのは、夫のほうに自信があるからだな。これほど強い女に好き放題やらせる男の懐の深さにほれそうになった作品でした…。