映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

深田晃司監督「東京人間喜劇」2661本目

これもミニシアターのクラウドファンディング。3つに分かれていて最後に各エピソードが収束するという「トリコロール」青白赤みたいな構成になっていて、とても面白かったです。

深田監督の作品は、「よこがお」「淵に立つ」「ほとりの朔子」を見てる。時系列順に並べると、だんだん良くなってる、と思う。

この映画は、この企画に参加してる他の映画と同様、見慣れた役者さんがあまり出てないところが面白い。この役者さんならこういう役どころだろう、という予想がつかないところも、カメラが引き気味で「記録」みたいな感じがするところも、ミステリアスに感じられます(ブレア・ウィッチ・プロダクト効果?)。

(以下ネタバレ)

第一部は、初対面の人たちが「結婚ってどうよ」という会話で盛り上がっていたとき、そのうち一人は彼氏から別れの電話を受けていて、そのうち二人は不倫していたけど次に会うときまでに男のほうが別の若い子とつきあい始めて別れた。という話。第二部は、友人の結婚パーティに客を取られて全く人が来ない個展をやっている女性の話。第三部は、結婚したカップルの男のほうが事故で右腕を失ったけど、ないはずの右手の痛みに悩まされている。妙なタイミングで2人の大きな嘘が明るみになる。第一部の男女は刃傷沙汰。という総崩れのエンディングです。

こういう、人間の奥の部分をイジワルに描いた作品って、なんかイヤだけど面白いというか、見ごたえがあります。機会があったらぜひ見てみてほしいです。