映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ジャン・ガブリエル・アルビコッコ 監督「金色の眼の女」2669本目

1961年のフランス映画。

独特の美意識の横溢する世界。日常の生活の泥臭さが存在しなくて、登場するのはすべて美男美女でお金持ちで、ミステリアスで少し病んでいるけど純粋。ちょっと大人向けの少女マンガみたいな世界です。

だいいち、主人公の男が登場する場面でウサギみたいな頭を被ってるんですよ。演じるのはポール・ゲール。この役ジャン・ルイ・トランティニャンでもいけそうです。アフター5にやってるスポーツがフェンシングってカッコよすぎです。

彼が出会う謎の「金色の眼の女」はマリー・ラフォレ。彼女の要望が少女マンガを思い出させるのかもしれません。大きすぎてとろけそうでちょっとだけ離れた目、眉から鼻へすっと通るすっきりした鼻筋、少女みたいな唇。彼女の瞳の色が白黒映画ではわからないのでカラー写真をたくさんググってみたら、実際金色っぽいです。すごく薄い茶色。綺麗だなぁ。スタイリッシュなファッショングラビアみたいなマンガがたくさん出て来た頃、ヒロインとして描かれたタイプのなかにこんな女の子もいました。

彼女を「囲っている」デキる女性実業家を演じてるのはフランソワーズ・プレヴォ―。彼女もまた、目を離せないくらい強くて美しい大人の女です。

フランソワーズ・ドルレアックは新進モデル、カティア役として、主役に待たされて空港まで走らされるだけの役でした。

 いちいちライトが十字に輝くようにフィルターか何かかけてある映像が、少女マンガの背景の花みたい。羽枕を割って散った白いふわふわの中で詩をつぶやきながら部屋の中をさまよう金色の眼の女。なんて美しい映画なんでしょう。これカラーだったら「シェルブールの雨傘」みたいに今でも女子に人気の美しい映画リストに入ったんじゃないかな。感想書いた人なんて一人しかいないし平均評点50点だけど、これはなかなかの美麗ロマンス大作ですよ。

それに、この映画って詰まるところ女性どうしの同性愛の話だし、原作は19世紀のバルザックとあるけど、他にどんな小説を書いたんだろう。気になる。…おっと「美しき諍い女」も彼の原作か。やっぱり貴族的な美麗世界の人だなぁ。Amazonで検索したら、なんと去年、少女マンガ家が彼の作品を美麗絵本化した本が出てますね。少女マンガを連想した私の感覚は一般的だったようです。

この映画、誰も見てないけど、画面が常に名画みたいに完璧で本当に美しいしロマンチックなので、見てほしいです。2回目、3回目のほうが魅力が増してきます。

金色の眼の女 [DVD]

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  • 発売日: 2019/03/11
  • メディア: DVD