映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ジェイ・ローチ 監督「スキャンダル」2675本目

原題は「爆弾」。タイトルが「スキャンダル」でポスタービジュアルが3人の美人キャスター、これじゃまるで彼女たちの社内不倫の映画みたいだ。この映画のテーマはセクハラなのでスキャンダルって言葉とはニュアンスが違う。日本で上映したところでセクハラがなくなるわけでもないので、いっそのこと「お色気爆弾」みたいな邦題にでもすればよかったのに(←皮肉きつすぎ)

日本のテレビ業界に依然として蔓延してるのはセクハラよりパワハラじゃないだろうか。ほかの業界のほうがセクハラすごい気がしています。でも問題は、すけべおやじの程度と数ではなくて、自浄作用がまったく働かずに頭も内蔵も手足もみんなちょこちょこ腐ったままという実態で(以下略)

この映画はポスターや予告編を見て、3人の女優が「がっぷりと組んだ演技」だと思った人が多いんじゃないかな。実際には予告編で使われていたエレベーターの場面以外、3人が同じ画面に映る箇所は一つもありません!ここが一番残念かな。男でも女でも、同じ相手に嫌な目にあったからって、元々仲良くない者同士が集まって悪口を言うわけないんだけど、元々仲間だった3人が力を合わせて巨悪を討つ映画かと期待してしまった。まったく一人で戦うのってかなりきつい。アンカーウーマンとしてアメリカ中の視線や揚げ足に長年耐え続けた人でもなければ、難しい。

日本には詩織さんという不幸な例があって、訴えても守られないという不文律ができてしまってさらに声を上げづらくなってしまったんじゃないだろうか。

それにしても、金髪で脚のきれいな美人を見たがる保守が相当数いるからFOX TVが存続してきたんだろう。ライバルのMSNBCはヒスパニック系やベトナム系やアフリカ系のキャスターが人口比と同じ割合で登場するチャンネルなんだろうか。(サイトを見たらアフリカ系のキャスターが日系人にインタビューしてた)

セクハラやパワハラって、相手をいたぶるのが快感で、かつ、相手がぜったい自分に反撃してこないと思うときにやらかすもんです。どんなに無垢な少女も、無邪気でいられない世の中なので、自衛のためのチュートリアルとしてこの映画を見ておきましょう。(好きな男以外と密室で話すときは、録音しとけ!か?)

スキャンダル (字幕版)

スキャンダル (字幕版)

  • 発売日: 2020/04/29
  • メディア: Prime Video