映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

セバスティアン・レリオ 監督「グロリアの青春」2681本目

グロリアが通うダンスクラブは、中高年の出会いの場なんだろうか。毎回わりと積極的に男性に声をかけるグロリア。笑顔がチャーミングな初老の女性です。夫や妻と別れたり先立たれたりして独身の人たちって、この年代だとどれくらいいるんだろう。素敵だけどちょっと性格が…なんて言ってる場合じゃないくらい、相手を見つけるのって難しいんじゃないだろうか。それにしてもこのオバちゃんはフランクというか、声をかけて来た誰とでもすぐ寝るし、気に入らないと男の家に行ってスプレーガンを浴びせるし。男のほうも、前の家族に縛られてて先に進めない。女の家族は自立しすぎていて彼女はかまってもらえない。みんなそれぞれ、すっきりしないものをいっぱい抱えてて誰に相談もできない、自分だけの一生を生きるのだ。

この映画の場合、彼女が他の人より特に大変ってわけじゃないし、まあまあ自分勝手で尻軽でもあるので、見る人が彼女に共感するのは難しいと思うけど。でもそんなグロリアも自分の歌を捧げる賛歌のような映画なのでした。

この映画を日本で作るのは難しいだろうな。若い女の子が東京に出てきて挫折する映画なら作れそうだけど。 

グロリアの青春(字幕版)

グロリアの青春(字幕版)

  • 発売日: 2014/09/03
  • メディア: Prime Video