映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

クロード・ルルーシュ監督「愛と哀しみのボレロ」2683本目

世界きってのロマンチストな監督(と私は思っている)が戦時下の恋や家族を描くとどうなるのか。不思議な音楽映画、なのかな。男女が出会った場面の次はもう結婚式だ。ミュージカルやオペラみたいに、解説で「物語が大きく動き始めるのは20年後のことでした」とか説明を入れつつ、場面場面は孤立してる。KINENOTEとかの解説を読んで、グレン・ミラーやエディット・ピアフを模した設定だとわかってから、少し人物たちが把握できるようになったけど、親と子を同じ人が演じていてもなお、誰が誰かすぐわからなくなる。2回見ると6時間、でもまだ把握しきれないからもう一度見るかどうか迷う。

グレン・ミラーはドイツ人だけどアメリカで成功した人だし、エディット・ピアフはニュースキャスターにはもちろんならなかった。監督が好きな人たちを集めて彼にとっての宝物を作った、というロマンチックさが感じられます。

最初と最後の「ボレロ」が確かに素晴らしい。時代はめぐり、移り変わるけどまた出会い、戻ってくる、というのが、繰り返しの多いこの曲から伝わってくる。

ほかの映画とは違うんですよ。全体的な作り自体が。でも、頭で理解して問題意識を持つための映画じゃなくて、ミュージカルやオペラやバレエみたいに楽しむものとして、この映画の良さや個性を味わいたいなと思いました。 

愛と哀しみのボレロ [DVD]

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  • 発売日: 1999/01/29
  • メディア: DVD