この監督の作品は初めて。ニコラス・ケイジがしょっぱなからアルコール依存症の借金魔で、この最低な男をこれからどうするつもりだ、という気になります。
彼が出会ったチャーミングな娼婦エリザベス・シューの元締めはジュリアン・サンズ。「眺めのいい部屋」くらいしか見てないので、堕ちたなぁという感じ。この映画のニコラス・ケイジほどではないけど…。
という感じで、二人はいい感じになっていくのですが、ラスベガスの依存症男と娼婦がただこのまま幸せになるとも思えず、不穏な気持ちで先を急ぎます(私が)。一言でいうと、「too good to be true」というかんじ。
その予感を裏切らない結末ですが、最後まで見るとなんとなく、アルコール依存症の脚本家が孤独に耐えかねて自己憐憫の脚本を書いてしまった感じかなぁと思いました。よく見たら、依存症の小説家の自伝的作品で、映画化権を売ったあと自殺してしまったとのこと。それを知った上で見直してみると、自己憐憫のユーモラスさのなかの絶望って大きかったんだろうなと思います。もう回復は無理だって自分を見切ってて、最後に素敵な女の子に愛されたいって思ったのかな。
今でこそ依存症は精神的なもので、我慢強さではないってわかるけど。2020年の眼でこの映画を見直すのは、学術的な意味があるかも…と思ってしまったのでした。