映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

アルフォンソ・キュアロン監督「ROMA/ローマ」2705本目

いつまで待ってもレンタルされないし、名画座にも降りてこないので、とうとうNetflixに加入しました。キュアロン監督作品、久しぶり。

このローマはメキシコにあるローマという地名なのね。「パリ、テキサス」みたいな。白黒のメキシコ映画というとルイス・ブニュエルを思い出します。 でもこの映画はネイティブの女中が主人公なので、ブニュエルの映画とは視点が違います。クレオという名の彼女は少女みたいに無垢で、自分の外で起こるさまざまなこと、悪い男や働いている家の問題や暴動に巻き込まれて振り回されます。男たちはなんだか勝手なことばかりやっているけど、女たちは傷ついたり怒ったりしながらも、子どもたちを守って愛情豊かに日々を送っていきます。…そんな映画。

主義主張や恋愛は通り過ぎて行くけど、家族とか地に足の着いた生活が何より大事。監督はこの映画の中の中流家庭の子どもたちの一人だったんだな。クレオに対する愛あるれる視点からそんなふうに思ってしまいます。

メイキングではカラフルな撮影風景が見られてまた楽しい。最初のシーンの床のタイルは赤と黄だったんだ。「天国の口」の背景も紹介されてた。すごく地味なんだけど、じわじわと良い映画ですね。なんか…「東京物語」みたい。最後の、クレオが洗濯物を干しに屋上へ登って行ったあとの場面を見ていると、田舎に帰って縁側でスイカでも食べてるような、ほっとして安心した気持ちになるんですよね。

スペイン語圏の映画って好きなのが多いんだよな。この映画も、好きな映画のひとつに加わりました。

ROMA/ローマ [Blu-ray]

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  • 発売日: 2020/06/03
  • メディア: Blu-ray