映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

フランシス・フォード・コッポラ 監督「コットンクラブ」2736本目

この作品は「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」 の半年後に公開。両方とも1920年代の禁酒法時代の、華やかで血なまぐさいアメリカが舞台で、公開当時私はこの2本の映画の美しく刹那的な人々にうっとりしたのを覚えてます。両方とも好きだったけど、「ワンス・アポン」のほうは平均評点80点オーバー、こちらは66.5点。この差って何だろう?…Amazonプライムの視聴可能期間があと4日で終わると書いてあったので、慌てて再度見てみることにしました。

ダイアン・レインは19歳の役で実際にこのとき19歳。35歳と言われても通るくらいの大人っぽさ。(老けてるんじゃなくて成熟して見える)現在の写真を見ても自然に若々しくてとても美しい。こういう一生がいいな…(言うのはタダですから)

この作品は、非ギャングのミュージシャンやダンサーのカップルを中心に描いていて、ギャングの世界に巻き込まれる恋人たちの映画なんですよね。そこが、はみ出し者にしかなれなかったギャングたちの人生を描いた「ワンス・アポン」とは違う。ギャング側の義兄弟的な激しい愛憎はこの映画には出てきません。だから、殺戮シーンがいくらあっても、魂が震えあがるような気持ちにならず、カップルたちの恋路で終わってしまうのかな。

リチャード・ギアが演じたコルネット奏者のモデルになったビックス・バイダーベックは、実は28歳のときに病気で急死したらしい。タップダンサーが惚れる混血の歌手ライラのモデルになったのは、有名な混血の歌手レナ・ホーン。彼女が白人客向けの「コットンクラブ」で歌っていたのは事実らしい。タップダンサーが”客席から”ステージを見ていたクラブは黒人向けのクラブのはずだけど、その背景とかもっと見てみたかったな。この時代のアーティストではないけど、サム・クックが白人向けの「コパ」で歌ったライブより黒人向けの「ハーレム・スクエア・クラブ」で歌ったときの地鳴りがするような激しいライブのほうがしびれるので、その辺の違いとか描いてくれたら、音楽映画としても魅力的だったかも。

コットンクラブ (字幕版)

コットンクラブ (字幕版)

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