タイトル素敵じゃないですか。MGMのライオンが途中からイラストの吸血鬼になって、その牙から垂れた血液が上へ流れていくタイトル文字にずっとポタポタと落ちていく。文字そのものも、ティム・バートンのアニメみたい(こっちのが古いけど)な手書き文字。ポランスキーにしては小じゃれてます。映画全体にわたって、ヨーロッパの昔の絵本のようなゴシックな美しさが行き渡っていて、コミカルなお化け屋敷のような楽しい映画でした。
吸血鬼の映画をみんなが作りたがった時代があったのかもしれない。今はゾンビだな。吸血鬼は十字架とかのキリスト教的なものに絶対的に弱いけど、ゾンビは無宗教だ。どちらとも一度死んでいて、生きている人に食らいつくという意味で、ゾンビは吸血鬼の応用型なんだけど、どういう発想で誰が生み出したんだっけ。面白いなぁ。
シャロン・テートの出演作品を見るのは初めてだ。赤毛の女性の役で、か弱いというより気が強そう。最後なんてけっこうコワイくらい迫力あった。ちょっとキーラ・ナイトレーに似てないかな?「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」でマーゴット・ロビーが演じた彼女は、ひたすらきれいで可愛く愛される女性って感じだったけど、もっと個性的でくっきりとした人だった。当たり前だけど、薄幸の人って感じじゃない。人は死ぬんじゃなくて生きるのだ。生きるのが終わることを死と呼ぶだけだ。彼女がどう生き生きと生きていたかを垣間見ることができて良かったです。