映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

長谷部安春 かんとく「野良猫ロック セックス・ハンター」2768本目

借りるのに勇気がいるタイトル!(笑)でも全然まったく、いやらしい映画じゃないです。

海外の映画好きの人たちが、梶芽衣子の出演作品のイメージイラストを描いたのをたくさんTwitterで見たのですが、その中にこの作品もあって、見てみたくなりました。

まだ若い梶芽衣子、ほんとうに綺麗。家猫に対して山猫みたいな、野生の厳しさや荒々しさを感じさせる美しさ、しなやかさですね。まだ23歳。

「野良猫ロック」シリーズはこれと同じ年だけで4本も作られています。主役は和田アキ子だったり范文雀だったり。

女たちは”おやじ狩り”を平気でするし、チンピラにも物おじしないし、チンピラどもは軽薄そのもの…なにかに似てると思ったら、タランティーノの映画だ。「デス・プルーフ」そのものですね。あれはアメリカのB級映画の世界なのかと思ってたけど、まさに野良猫ロックだった。キル・ビルのルーシー・リューの役を梶芽衣子がやってたら、ユマ・サーマンは完全に食われちゃっただろうな!少し前まで、親に売られて男に食い物にされて悲運のうちに果てるような薄幸の女性ばかりが映画になってたのに、戦後女と靴下は強くなったとか言われてたわけだ!

若いジョー山中やゴールデン・ハーフ(5人時代)が出てて、男も女も襟の大きな蛍光色のブラウスの胸をはだけて、女たちはキャーキャー、男たちはウヒャヒャヒャヒャ、爽快なくらいの無軌道な若者っぷり。梶芽衣子は巨大な帽子をかぶっていて、まるでマジシャンだ。梶芽衣子に迫るハーフっぽいスリムな若者は…安岡力也じゃないか!!まったく面影がなかった!藤竜也は一見同じだけど、よく見るとめちゃくちゃ若い。なんて濃いキャスティングなんだ。

ストーリーが支離滅裂、と酷評?してる人がけっこういますが、そもそもストーリーが全然頭に入ってきません。立川が舞台で、やたらとハーフか日本人かという話が出てくる…外国人やハーフにいちゃもんを付けてはいじめる、いじめる。でも混血の人が集まらなかったのか、いじめられてる人たちもほとんどが日本人にしか見えません。だいいち、姉が黒人兵に犯されたといって逆恨みする相手はふつう、そういう行為によって生まれたハーフではなくて強姦犯でしょう?

なんで梶芽衣子は火炎瓶を持ってるのか。なんでハーフの安岡力也の妹が日本人顔なのか。スナックで大喧嘩をした後、店の人に言われて黙って片付ける場面があったのが、なんか居残りの生徒たちみたいですごく不思議だったり。不可思議でおかしなことが多いけど、B級ですから。そこがまた良い。無駄なくらいスタイリッシュな映像も素敵でした。

野良猫ロック セックスハンター