映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

スティーブン・ナイト監督「オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分」2770本目

見る前に映画紹介文を見て、「ギルティ」って映画を思い出したのは、きっと私だけじゃないと思います。車の中からの電話だけで成立してしまう映画。あれは面白かった。

この映画は、<以下ネタバレ>一夜だけの関係をもった女性が妊娠して、早産のため予定より早く病院へ搬送され、その夜と翌朝の重要な予定がすべてドミノ倒しのように崩れ去りそうになっていく、というストーリー。出産に際した女性は身寄りもなく孤独な中年女性。彼女のもとに向かう車内で、トム・ハーディ演じる建設会社の男がひっきりなしに各所からかかってくる電話に答えています。

謎なのは、いくら孤独だからといって、あまり知らない女性の出産に立ち会うために男が生涯のうちでいくつもないような大プロジェクトを投げ出すことなんてあるのか?というところや、これから出産するという女性の存在や自分の過ちを会社や家族に事前に知らせるものなのか?いくら何でも拙速な判断なんじゃないか。というところ。日本の男性だったら、明日の大事なプロジェクトを投げ出すという筋だけでもはや成り立たないだろうな。。。

一晩で、というか、一本の電話で家族も仕事も失ってしまうっていう。出演者は顔出しトム・ハーディ一1名、声の出演多数。低予算映画と言えそうです。アイデアがとても面白いけど、自分が行っても行かなくても状況が変わらないひとの出産に立ち会うという男気が、なんとなく嘘っぽく思えてしまった時点で、説得力が少し物足りない設定です。こっちの方が5年ほど早く公開されてるので、これを見てもっと緊迫感が欲しいと思った「ギルティ」の制作者が頭をひねってあの設定を考えたのかな~なんて想像してしまいました。 

オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分(字幕版)

オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分(字幕版)

  • 発売日: 2015/11/01
  • メディア: Prime Video