映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

斎藤耕一 監督「津軽じょんがら節」2777本目

江波杏子は、すごく大人っぽい中年の女性というイメージだから、若くてびっくり。(なんで驚くんだろう、誰だって若い頃はあるのに)寺田農も若いなぁ、細いなぁ。

津軽の荒い波、情緒あるなぁ。だいいちDVDジャケットがいいですよね。大人の日本昔ばなし、みたいで。ATGっぽいと思ったらやっぱりATGだった。江波杏子が連れて帰ってきたヤクザ者を演じてるのは織田あきら。懐かしい。この人昔よく見てた。

このカップルの、若くてたくましいけどスレててけっこうもう詰んでる感じ、独特ですね。他方、土地に根を張った漁村の人たちの、強い植物みたいなパワーもすごい。目が見えない女の子の存在感もずっしりとしていていい。根なし草の若者を吸い寄せて、根を張らせる何かがあったんでしょうかね。

ただ…結末はあれでもいいんだけど、目が見えない人はその分人を聞き分け、感じ分ける力が鋭いので、彼氏の敵が殺しに来たら「逃げて!」って言いに来るはずだよね。今ならそういう認識も広まってるけど、この頃は「目の見えない人は子どものような人」と思われてたのかなぁ。

ラストシーンは、三味線の音などかき消されるだろう荒波の打ち付けるごつごつした海辺で、盲目の子が津軽三味線を教わり始める場面。現実にはこれはない、様式的だ。タイトルの「津軽じょんがら節」は思ったより本編とは関係のないタイトルでした。 

津軽じょんがら節

津軽じょんがら節

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video