映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

福田雄一 監督「俺はまだ本気出してないだけ」2779本目

7年前の作品。ダメダメ男の映画って、古今東西ちょいちょいあるので、ダメっぷり自体は新鮮なわけじゃないけど、かすかなペーソスがあります。マンガ家を目指す男とパン屋を目指す友人、客を殴ってしまうバイト…彼らみんな人間的な優しさがあるんですよ。優しすぎて、気づくとダメな方に入っている。身勝手とか強欲とかで孤立するわけじゃない。作者が自分を投影した作品が原作なのかな。

作者の青野春秋の作品は、「100万円の女たち」とか通しで読んだことがある。不思議でブラックな世界に引き込まれた。ダメ男が描いたマンガって感じはまったくしなかった。むしろ、大学生くらいのイケメンで小じゃれた人が描いたのかな?と思ったくらい。特に、お金をたくさん持った女の子たちがそれぞれ個性的ですごく魅力的なんですよ。本当に引きつける女性を描ける男性って、そうとう女性をよく見てると思います。

この映画にはそこまでの魅力を描き切れてない気はするけど、私には、じわっといい作品でした。

俺はまだ本気出してないだけ

俺はまだ本気出してないだけ

  • 発売日: 2013/12/19
  • メディア: Prime Video