映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

サム・フェダー監督「トランスジェンダーとハリウッド 過去、現在そして」2793本目(KINENOTE未掲載)

LGBTのほかに今はアセクシュアルとかさらに増えてきているみたいですが、この映画で扱っているのは「どの性の人が好きか」ではなく、あくまでも、体と心の性別が不一致で、それを一致させようとした人たちのドキュメンタリー。

ハリウッド映画が長年、いかにトランスジェンダーの人々をキワモノ扱いしてきたか、いかに偏った見方を観客に押し付けてきたかを、俳優や映画業界に関わる現役当事者たちが語ります。彼ら彼女たちは非常に敏感に、自分に向けられる偏見や嘲笑を感じ取ってきました。

トランスジェンダーという理由で殺される役や、ホルモン剤で病気になる役、どっちにしても娼婦の役ばかりだといいます。

ハリウッド映画のアジア人も相当ひどいし、日本のバラエティでいじられるトランスジェンダーも外国人もひどいよね。

しかし性自認っていうのが私自身はあまり強くない、つまり、身体が女性で生まれたから女性の恰好をして生きて男性と付き合う、という役割を今生では果たしてる、くらいの意識しかないので、次に生まれ変わったら男かもな、と思ってる。自分はこうだ、と主張できるほどの特徴を持ってる人はすごい、と思ってる。働いてきた会社にはLGBTグループがあって、世界はどんな人たちにとっても生きやすくなりつつあると思ってた…けどトランプの時代が来てBrexitが実現してしまって、そうでもなかったことを思い知った。こういう映画が作られることで、また、いい人たちが知らなかったことが暴かれていくんだな。

トランスジェンダーの人がオリンピック競技に出るようになると競技を女別にする意味が薄れていって、生まれが女性の人たちが受賞する機会が少なくなるんだろうか。いろんな今の規範や社会制度を本格的に見直すことが出てくるんだろうな。トランスジェンダー同士の夫婦は今のシステムでも結婚できたりするし。

どんな人もやりたいように暮らすのがいいのだ。自分と違う人たちを攻撃するのだけしなければ、面白い豊かな世界になると思うんだけどな…。