映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

デヴィッド・フィンチャー 監督「Mank マンク」2802本目

久々のフィンチャー監督作品。

あえての白黒だろうけど、「市民ケーン」と同じ光量で撮るべき映画じゃないだろう。人物が遠めで画面暗めなので、誰が誰だかわかりません…とくに室内の女性たち。

時系列がバラバラ(こまごまと年号が表示されるけれど)だし、そもそもの背景を知らないから名前も顔も覚えられないし(私どうも、邦画でも洋画でも、人の区別がつくのに時間がかかるみたいだ)。 

いっしょうけんめい、Wikipediaとかでマンクやウィリアム・ハーストのことを調べながら見ても、映画と有機的につながって人物像や時代背景が立ち上がってくる…ということがない。「市民ケーン」は、かつて成功者だった男の悲哀を描いて胸を打つ作品だったけど、これは、しゃべりがうまいけどしゃべりすぎて身を滅ぼした脚本家のお話、という印象しか持てない…。

結局4,5回も見ようと試みて、やっと最後まで見られました。内容というより構成や撮影が私にはとてもきびしい映画だったなぁ。