恒例のタイトルチェックですが、邦題は見事に原題「The Counterfeit Traitor」の直訳。「裏切者」でもいいけど「偽の裏切者」より「売国奴」のほうがキツくてインパクトあります。
ジョージ・シートン監督の作品は、脚本を書いた「マルクス一番乗り」しか見たことがないのでほぼ初見です。うって変わって社会的な題材ですね!
この頃のウィリアム・ホールデンって、トム・ハンクスっぽく見えるときがあるな。こっちのほうが堅い役が向いてる雰囲気があるけど、どちらも市井の人という、普通さ、まじめさ、親しみやすさがあります。
スパイはもとより、詐欺師とかお笑いとかMCとかが勤まるような口の上手さってものが私にはまったくないので、こういう映画を見ると「すごいなぁ」と指をくわえて眺めるしかないのですが、007のようなきらびやかなフィクションと違ってこのエリック・エリクソンという本物のスパイにされた男の話は強烈にスリルと重みを感じさせられます。”地下組織”があんな状況のドイツのあちこちに存在したこともすごい。地下組織かっこよすぎる…しびれる…(しびれてる場合じゃない、生命と国家がかかってるんだから)
第二次大戦中の「中立国」がどういう位置づけだったのか全く知らなかったので、その不可侵で微妙な立ち位置が少しわかってよかった。エリック・エリクソンについての情報ってあんまりないけど、英語のWikipediaを見たら1983年まで生きたらしい。ナチスドイツだから彼の命がけの活躍で負けてよかったと思うけど、日本も一緒に負けたわけだし、もっといい国が負けて危ない国が勝つ状況だったらスパイって微妙だな。。。