映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

デヴィッド・ドブキン監督「ユーロビジョン歌合戦 〜ファイア・サーガ物語〜」2818本目(KINENOTE未掲載)

もっと早く見るべきだったけど、去年はNetflixに加入してなかったからね~。

ユーロビジョン・ソング・コンテスト(歌合戦って言われてもピンと来ない)はヨーロッパ全体、さらにはオーストラリアやアフリカ大陸の国のような南半球の国々からも代表が出てオリンピックみたいに国対抗で行われ、世界中に配信される…まぁ歌合戦みたいなもの(笑)。たいがいの英語圏の国の人なら誰でも知ってるコンテストがテーマで、舞台がアイスランドってところが、そもそも可笑しい。一昨年旅行したので、いかに彼らがバイキングの伝統を重んじているか、氷と火山しか売りがない辺境の地とみられていることにコンプレックスを抱いているか、すごく実感してしまうのでますます面白い。

映画ではそういった「劣等感モチーフ」を最大限にフィーチャーして、デュオのラース(ウィル・フェレル)の服装は宅録してるときでもバイキング装束でシグリッド(レイチェル・マクアダムス)はお姫さまの恰好。だいいちファイア・サーガってアイスランド航空のビジネスクラスの名前みたいだ(マイレージプログラムが「Saga club」、ビジネスクラスは「Saga class」)。ラースとシグリッドという名前も「太郎と花子」くらいアイスランドっぽく感じられるし、エルフが普通に出てくるし、笑わせてくれる準備、万端です。ラースの父はなんとピアース・ブロスナン。年取ったけどカッコいいなぁ。

(でも背景がわからないとつまらないのかなー。カザフスタン知らなくても「ボラット」で笑える人なら大丈夫だと思うが)

アメリカ映画なので撮影はほとんど国内だろうけどアイスランドが舞台だと思うだけで、なんか寒く感じられるのが不思議。

期待はそのくらいにして乾燥をいうと、子どもの頃は声が出なかったレイチェルが歌姫になるのが普通の映画では考えられないくらい唐突だったり、ギャグのセンスが「ゴーストバスターズ」の頃(つまり昭和)っぽかったりするけど、単純に楽しめました。飛行機の中で見てもOKな、ゆる~いコメディでいいんじゃないでしょうか。(批評家の点が辛いのも、よーくわかるw)