映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

リューベン・オストルンド 監督「フレンチアルプスで起きたこと」2823本目

恒例の原題トークいきます。「FORCE MAJEURE」は英語の契約書にいつも出てくる「不可抗力」のことですね。(←もと法務部)こんなタイトルの映画、シリアスな殺人・法廷ものかと思っちゃったじゃないですか。

この映画は公開当時、予告編を何度か見て怖そうだなーと思ってたけど、スウェーデンから来た家族が、ブルーグレーのあいまいな色のお揃いの寝間着がみょうに可愛い。翌日ホテルのテラスで昼食中に雪崩が迫ってきて、しばらく視界ゼロの吹雪の中のようになってしまう…ここの映像効果、すごいですね。

スウェーデンの夫婦のびみょうな気まずさ…あまりはっきりものを言わない感じが、アイスランド映画「隣の影」や実際にアイスランドに行ったときの地元の人たちの雰囲気に似てる気がして、面白い。同じホテルに泊まった小学生グループがばか騒ぎしてるのがうるさいと引率の先生に注意したら、わかってるけどいいじゃん、みたいなバツの悪い子どもみたいな顔をして(そのくせ、さほど反省してるようでもなく)たのが印象に残ってて。この映画の主人公の夫のほうと、その引率の先生がなんとなく重なります(笑)。

夫が息子並みに爆泣きするところ、爆笑してしまった。泣ける男はズルイ。こんなにバカでは見捨てられないじゃないか。(泣く女もズルイか)

とりあえず、誰も死なない映画で良かった。ちょっとダメな人たちだった。なんとなく、三谷幸喜作品の北欧リメイクって感じだったな~。

フレンチアルプスで起きたこと(字幕版)

フレンチアルプスで起きたこと(字幕版)

  • 発売日: 2016/06/15
  • メディア: Prime Video