映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ケン・ローチ監督「SWEET SIXTEEN」2827本目

これもやっと借りられた。みんなスコットランドなまりがキツ過ぎて聞き取れないや。言葉だけじゃなくて、あまりにローカルなコミュニティの中の日々なので、普遍化して自分にも関係があると思うのが難しい。多分、九州の田舎からイギリスの田舎町に留学してしまったりしたら、こんな感じだろうか。…でもだんだん、身近な子どもたちに感じられてくるのは、映画の力ですね。

リアムをやってる新人の役者さん、いいですね。マーティン・コムストン。撮影当時プロリーグに所属していたというけど、まだ18歳。リアム像はリアルで痛切で、不良というよりカッとなりやすい激情型のマザコン…。しかしこういう面構えのいい小僧は、悪い大人に気に入られやすくて、直情的なのがわざわいとなって、まっすぐヤクザの道を走り始めてしまう。だって、ドラッグディーラーに惚れて犯罪に巻き込まれてる母を救うために自分が売りさばいてたら世話ないです。

まだ15歳だけど、「学校行ってないの?」なんて話はまったく出てこないし、家を買っても「すごいね」で済んでしまう。今度は彼が、母が入っていたところに入るのだ。

この映画のダニー・ボイル版が「トレインスポッティング」 だな。どの映画も、取り上げている人々の魅力や生命力に制作者がすごく惹かれて作ったんだろうなという気がします。可哀想、とか、守られるべき人たち、という視線じゃないよな。と、今更ながら感じたのでした。

SWEET SIXTEEN [DVD]

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  • 発売日: 2003/08/22
  • メディア: DVD