映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ポール・バーホーベン 監督「4番目の男」2831本目

バーホーベンといえばあの「トータル・リコール」の「ルドガー・ハウアー危険な愛」の「氷の微笑」の監督。どれも暑苦しいくらいの”けれん味”が持ち味です。どんな熱い男だったんだろう。この映画の主役もかなり濃いジェローン・クラッペですが、相手の女性は対照的にクールです。

設定がややこしくて、主役の男はそもそもゲイなんだけど、くだんの魔性の女にだけは惹きつけられてしまう。彼は作家で、すぐに想像の翼をはばたかせてしまって、自分の妄想を見てきたことのように語る(それこそがフィクションライターの才能かもしれない)。

女は彼を誘い込むように、なぜか!彼が興味をもった若い男の写真を見せつけるように置いておく。そいつは彼女の4番目の男で、前の3人とは結婚したけど全員事故死していた。

初めて会った女性が、彼の行動のすべてを把握しているわけもなく、彼を救う”マリア様”?も、もちろん聖書の世界から現れたもの。事実はだいぶ違っていて、ほとんどは作家の妄想なのか?つじつまは謎だけど妄想としては豊かな広がりがあって面白いです。これきっと、「トラウマ映画」の流れで「見たいリスト」に入れたんだろうな。

オランダってプロテスタントよりカトリックの方が人口が多いんですね。スペインやメキシコの映画に出てくるような教会が出てくるんだけど、完全に宗教に助けられるという設定はちょっとほっとしました。(十字架の上のジーザスを模した青年のパンツを下げるという発想は、イカンけど新しかった)

4番目の男 [DVD]

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  • 発売日: 1999/03/25
  • メディア: DVD