映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

Kelly Duane監督「リマスター サム・クック」2846本目(KINENOTE未掲載)

サム・クックかっこいい~~~!見た目も声も歌い方も、男っぽくてかつ品位があるんですよね。生き方や態度も、どうしたらこんなにカッコよく生きられるかというほど男気にあふれていました。

私はコロナ禍のなか、ここしばらくあまりの寒さに若干弱ってるなーと気づいて、JBとSam CookeとPファンクのライブを立て続けに聞いたら、一気にアドレナリンが上がって元気レベルMaxまで戻りました。でこのドキュメンタリーをNetflixで見つけたのでさっそく視聴。

しかしこれは、見たら元気が出るような内容ではなく、トップスターでありつつ公民権運動家であった彼の足跡と謎の死をめぐるドキュメンタリーでした。このあいだ見たアイルランドの「マイアミ・ショウバンド」というバンドを狙ったテロのドキュメンタリーも衝撃だったけど、この映画も悲しくなる。サム・クックは公民権運動に反対するあらゆる人たちから敵視されていただけじゃなくて、音楽出版社を作ったりプロダクションを作ったりして、業界の利益を抑えていたギャングたちからも目を付けられてた。その上、共同経営者の不正を見つけたばかりだった。…陰謀?というより、彼を邪魔だと思った誰かが関係者を雇ったことはありうる気がします。おっさんになってもらって、「若い頃はあんなにカッコよかったのに~」って言いたかったな。黒人リーダーとして世界を変えることができなかったとしても、せめてそういう風に、平凡に年を取る自由くらい残してあげてほしかった…。