<若干ネタバレあり>
アガサ・クリスティはよく海外旅行をした作家なんですよね。この映画の舞台はギリシャ。ほかに有名なところで「ナイル殺人事件」はエジプト、「死海殺人事件」はヨルダン(当時は英領パレスチナ)、「地中海殺人事件」はアドリア海…などなど、彼女ほどの観察眼をもってすれば、異国の異文化のなかで起こるミスマッチや行き違いも、トリックの種になります。
監督は「バルカン超特急」の脚本も書いた人なんだ。人間描写に期待してしまいます。
この主役の男の子、面白い濃いキャラです。金髪になったマーク・ボランみたいな顔してて、労働者階級だけど貴族的な趣味…という、クリスティのミステリでは道を踏み外しやすいタイプ(笑)。彼に恋をするのが純真無垢なお嬢様。これといって特徴のない彼に入れ込んでいくのが、どうも、「女に追いかけさせるテクニック」かよ?という気もしてきて、やっぱり…という成り行き…
この映画の日本語訳本のタイトルは「終わりなき夜に生まれつく」。覚えてないけど、きっと読んだんですねこの本。だいたい筋も犯人もわかったので。
地味な作品だけど、納得のミステリーでした。満足。