映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ジュゼッペ・トルナトーレ 監督「海の上のピアニスト」2849本目

ギンレイホールにかかってた時期、あまりに新規コロナ感染者数が多くて出歩く気になれず、この作品は流してしまいました。ので、レンタル。(イタリア完全版も早く出るといいな)

原題全然違うんですね。「Legend of 1900」、そういう時代の作品か。…ていうかこれが主人公の名前なんだ!イタリア語で1900は「ノベチント」っていう呼びやすい言葉になるのね。英語でも日本語でも名前として「1900!」はないなぁ。

空港から出られなくなった男の物語「ターミナル」っていう映画があったけど、あれは通関前後のことで、物理的には空港はどこかの国土内にあるものだ。でも船は公海の上を航行するからその上で生まれた子どもは国籍を持ちようがない(船籍のある国にするとか、実際には決まりがあるのかもしれないけど)。それほど豪華じゃない常時運航の大型客船なら、船を降りなかった人ってのも存在しうるのかな。したら面白いのに。…ってことで原作が書かれたんでしょうね、きっと。

ティム・ロスの普通っぽいけどバランスのとれた感じ、やっぱり良いです。

映画全体にあふれる、人間愛と人生を楽しむこと…この雰囲気はイタリアっぽいというか「ニュー・シネマ・パラダイス」っぽいよなぁやっぱり。リアリティより寓話性を優先する感じも。音楽の素晴らしさは、まさにこの映画の大きな一部となって作品のトーンを決めてるっていう部分だな。1900が乗客を見て、そこからのインスピレーションで即興演奏をするのと、同じように作曲したんだろうか。

古いピアノは割れた原盤と一緒に船を降りたのに、降りられなかった1900はもはや、「ヴァージニアン号の妖精さん(?)」って感じですね。 彼女を追ってニューヨークで下船しようとして、できなかったところで結末はもう決まってたのでは。。。

私は感染症がなければ世界中どこでもすっ飛んでいくほうの人間だからか、真逆の、一生ひとつの村から出ないまま終わる人の強さに惹かれるところがあります。憧れを断ち切り、今あるもので足りる強さ。(ネガティブな部分もあるんだろうけど)この映画を作った人たちや、好きになった人たちも、そういう気持ちで見てたんじゃないだろうか…。

(第二次大戦の終戦直後といっても、大型船をダイナマイトで爆破することなんてなかったんじゃないかな、海の底に沈めることはあっても)

海の上のピアニスト 通常版 (字幕版)

海の上のピアニスト 通常版 (字幕版)

  • 発売日: 2020/11/18
  • メディア: Prime Video