<ネタバレ?あります>
すごく変わった映画だ。もしこれが初めて見るヴィルヌーヴ監督作品だったら、「私はこの監督の今後に期待する」とか感想を書いたんじゃないかな。
デヴィッド・クローネンバーグの映画に出てきそうな、”汚い”しゃべる魚は、何度も、何度も、何度も叩き切られる。「殺す者は殺される」。妊娠中絶を、あるいはこの若い女性の中で終わりかけているなにかを表してるんだろうか。と思ったら、自分をぶった斬った魚屋が、彼女の車にはねられる。
「殺す者は殺される」けど、彼女は生き延びる。人の運命は不思議だ。でも映画の終わりは彼女の人生の終わりじゃない。彼女がこのあと魚より魚屋より悲惨な運命をたどるのか、たどらないのかもわからない。魚も言ってるように、人生の不思議は語り切れないまま映画は終わってしまう。…この監督の作品はこのあともずっと、さまざまな不可思議を、勧善懲悪でもなく教訓めいたことも言わず、描き続けてるのかもしれません。