KINENOTEの「MY BEST MOVIE」にしたままになっているこの映画、DVDで見たらどうなのかなと思ってレンタルしました。
…何これ強烈なローテク感!画質が悪すぎて、昭和のアニメみたい。影がまったく描き込まれてないのも、どうも気になる。アニメだからかな、印象変わるな~。
研二の「間」は若干遅いなってわかるけど、研二たちが家でバンドを始めるまでの時間が、映画よりすごく短く感じたな。アニメだと再生機器の色のクセもわかるな~。
「古武術」が「古美術」の3人を読んで演奏を聞かせるとき、森田の脳裏に広がるのは…「ジョンの魂」と「ツェッペリンⅡ」と「原子心母」の牛と「サージェント・ペパーズ」の福助と…チューブラー・ベルズを通り抜けて…なぜかオフィーリアになって川を流れ…要はロックの根源的な衝動、という風に、音楽を聴き込んできた人は思う。でも当人は何も考えてない、というところがいいんだよな。
そして、最高にダサいと思われた森田の燃え上がるパフォーマンスは、軟弱なフォーク野郎だと思われた吉田拓郎の「にんげん~なんてララ~ラ~ララララ~ラ~」に全ロッカーが泣いた、みたいな出来事だ。
改めて隅々まで見れば見るほど荒くて、家で見るとなんとなく付けてるテレビみたいに流してしまいそうだけど…でもやっぱり研二はすごいよ。徹頭徹尾、無策。オーラが後光みたいに出てるのに何も考えてない。だからみんなに恐れられるんだろうな…。
バンカラバクチは「はいからはくち」ではない(笑)、森田の名前は森田童子から来てるんだろうか。アヤちゃんはなぜ「フェス」があるような現代においてパーマにスカートのすそをひきずるのか。この作品は日本の戦後のロックの歴史を全部なぞろうとした教科書的な作品なのか。アバンギャルドとは何かを突き詰めようとした哲学的作品なのか。
これは「ONCEダブリンの街角で」と同じジャンルの作品なのだ、私にとっては。音楽は、完璧にアンサンブルが決まるときも最高だけど、初めての人と合わせたとき、合った!って感じるその瞬間が感動なのだ。
研二のステージ最後の「おたけび」って、映画のときはもっといかにも岡村ちゃんって感じの軟弱なシャウトだった気がしたけど、DVDで見直したらわりと野太い感じだった。
改めてこの作品は、普遍的だと思う。また楽器を手にして生音を出してみたい、と思う。飲み友達のなかで「ウクレレオーケストラやろう」っていう冗談が出てるんだけど、あいつらどのくらい本気かな…。