映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ジョエル&イーサン・コーエン監督「バスターのバラード」2872本目(KINENOTE未掲載)

これもNetflixなんだなぁ。2018年の作品なのに、今もNetflixでしか見ることができません。KINENOTEにも載ってない。でも、これは、コーエン兄弟の”人の悪さ”が前面に出たブラック・コメディだし、小説みたいなオムニバスになっているので「1本で6回美味しい」。こういう作品こそ、他の人の感想が読みたいんだけどな~

各作品のタイトルが、「19世紀アメリカ短編小説集」をめくるようになっていて、これこれ!大学のアメリカ文学の授業で使ったペーパーバックがまさにこれ!と一人で盛り上がりました。

こういう作品、映画館向けには作りにくくなったのかな、教育上良くないから(笑)。Netflixのほうが子どもでも見ちゃうと思うけどな…。

6本が6本とも、勧善懲悪ともいえない皮肉などんでん返しが待っています。インディアンの襲撃とか、良識的な映画人がいま決して作らない作品を作るのがコーエン兄弟…こうでなくちゃ…。

ジェームズ・フランコは「トゥルー・ストーリー」では二枚目で冷酷な犯罪者、今回はいつもしてやられてる銀行強盗。

トム・ウェイツはもう老人役なんだな、すっかり好々爺になっちゃったな。「ルビー・スパークス」のゾーイ・カザンはずいぶん若い娘の役をやってるけど、いいコメディエンヌになったなぁ…。

ジョークきついんだけど、19世紀アメリカなら普通にあったようなネタだと思うので、古き”悪しき”アメリカを垣間見るようで実に面白かったです。日本のAmazonプライム初期に園子温が作った「東京ヴァンパイアホテル」とか血みどろですごかったし、映画館にかけるのをためらうような作品がこれからはどんどんVODに移ってくるんだろうな…。