映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

行定勲監督「窮鼠はチーズの夢を見る」2873本目

優柔不断が服を着て歩いてるような大伴を演じるのは、ジャニーズの大倉忠義。ジャニーズが男性に愛される役をやる時代か。意外だけどファンだったら食い入るように見ちゃうだろうな。彼を学生時代から思い続けていた後輩、今ケ瀬を演じるのは成田凌。だんだん彼の良さが分かってきた気がする…。この人は主役をカッコよく張りたくて映画に出るっていうより、映画を面白くすることに徹してる感じがして。

今ケ瀬が大伴にキスを強いる場面、「ブエノスアイレス」のレスリー・チャンみたいだった。あの映画もこれも、愛の映画。この映画で成田凌は、私の中の「いい役者」のラインを超えたかな。リアルで胸に迫る演技。

それにしても、かなり暑苦しい、ほとばしるような映画を撮ると思ってた行定勲監督が、ずいぶん温度の低いさらりとした映画を作るようになったんだな。この映画も熱いけど、内に秘めて静かに生きていく、というふうに、いいかんじに成熟した作品だと思います。

(ところで、大伴が働いてるのは明らかに品川シーズンテラスだったな…) 

窮鼠はチーズの夢を見る (通常盤) (DVD)

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  • 発売日: 2021/03/03
  • メディア: DVD