映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

ギャスパー・ノエ監督「CLIMAX クライマックス」2885本目

ギャスパー・ノエ監督の作品を見るのは緊張する。 心の準備をするために、先に他の方々のレビューを全部読む。

みなさん書かれているように、ダンスシーンは本当に素敵。どうやったらこんな風に身体を動くんだろ、でも動くだけじゃなくて体の中に何かすごいものがあるからこんな風に動けるんじゃないかしら。公式サイトに楽曲がたくさん載ってるけど、やっぱり、最初のほうで全員がシラフの状態で踊ってたセローン「Supernature」がいいですね!

クラブというところに100年くらい前に何度か連れて行かれたとき、ほとんど乗り切れなかったけど、夜が更けて疲れて眠くなったころに、突然頭がさえわたるというか、心が澄み渡るような感じ。あれがトランスって感じなのかな、と思ったことを思い出しました。

ギャスパー・ノエの作品なので、終盤は全員全裸で血まみれ、くらいのことは覚悟してたけど、一番荒れてる時期は天地逆の映像でショックを和らげようとしたか、それともクレイジーさを強調したか。でも、映画の趣旨が「ドラッグはいけない」…は嘘でしょう監督。そういう危険の美しい瞬間をフィルムに残したかったんだよね?

日本でも外国でも、結局一度もドラッグというものを経験する機会はなかったけど、怖がりなのであってもできなかっただろうなぁ。この映画で思い切りバッドトリップさせてもらえてちょっとだけありがとうという気持ちです。

ダンスシーンは繰り返し見てしまった。これはDVDで見ることの特権。全員素晴らしいんだけど、中でもデヴィッド(坊主頭でトレーニングウェアにデニムを着た白人の男性。振付家セルヴァに迫ってた彼ね)を演じたRomain Guillermicが最高。彼には注目していこうと思います。

CLIMAX クライマックス(字幕版)

CLIMAX クライマックス(字幕版)

  • 発売日: 2020/05/27
  • メディア: Prime Video