映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

スパイク・リー監督「シーズ・ガッタ・ハヴ・イット」2886本目

1985年の作品。テキストが流れたあと、何の説明もなく黒人たちの普段の生活を撮った白黒写真が続く冒頭がスタイリッシュすぎる!英語をカタカナにしただけのタイトルが多くなったのは、この頃でしょうか。「ガッタ」とか「ハヴ」っていう音にリズム感があるので、これで原題の勢いが生かせてる気がします。

全編白黒なんだな。「シ―」はノラという名のちょっとユルイ、幼い雰囲気の女性。嘘が付けない自由な性格で、付き合ってる男性が3人いる。彼女はまるで、よくなつく犬みたいにオープンで、なんか憎めません。全然「女を武器にしてる」ってタイプではない。男たちはそんな彼女をひとりじめしたくてたまりません。

ストーリーはじつにシンプルだけど、ハリウッド映画みたいなすったもんだがなくて、みんなめいめいに彼女にからんで、諦めたり追いかけたりするのがすっきりしていて、見ていて気持ちいい映画なんですよね。

スパイク・リーって頭が良くてずっとしゃべってる感じや、本人以外の登場人物がすごく魅力的に見えるところが、ブルックリンのウディ・アレン、みたいな感じ…。