映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

テレンス・ヤング監督「夜の訪問者」2896本目

私の世代には「う~ん、マンダム」で知られた男くささの権化チャールズ・ブロンソンが、フランス語をしゃべってスウェーデンのリヴ・ウルマンと共演してるって、どういうこと?監督のテレンス・ヤングは上海生まれだけどイギリス人。原作もイギリスなのになぜフランスで映画化。フランスで出資者が見つかって、自分好みのキャスティングで好きなように作らせてもらえた、のかな。チャールズ・ブロンソンとリヴ・ウルマンなんて、たまたまとは思えないすごく恣意的なキャスティングなので、監督(か製作者か)の強い希望なんじゃないかと思います。ジェームズ・メイソンまで出てるし。

このみりょくてきなキャスティングで緊迫感のある犯罪・人質ものってなかなか素敵なんだけど、わりと複雑なストーリーがおっかけづらい。ということは、スリルを感じにくい。もったいない気もするけど、チャールズ・ブロンソンとリヴ・ウルマンとジェームズ・メイソンを見てるだけでも割と満足だなぁ。

脱獄計画は身分証とかも用意してあって周到だったのに、今回の犯罪計画は最初からズサンですよね?失敗するべくして失敗してるよな…。草に火をつけて逃げるってのも、自分自身が煙に巻かれそうで難しいし、逃げた先にたまたま夫が戻ってきてるってのはあまりにもあまり…。いや、それでも、このキャストを見てるのが面白かったので、なんとなく、これでも良かった気がします。映画って、名作じゃなくても好きになれたりするから面白い。 

夜の訪問者 [DVD]

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  • 発売日: 2007/08/24
  • メディア: DVD