映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

庵野秀明 総監督「シン・ヱヴァンゲリヲン劇場版:||」2897本目

<ネタバレあり。まだ見てない人は読まないで!>

タイトルは、本当は「ヱヴァンゲリヲン新劇場版 :||」にしたかったけど「The artist formerly called Prince」みたいに誰も読めないので仕方なく「シン・ヱヴァンゲリヲン」にしたのかな。(ヱヴァンゲリヲンってまるで椎名林檎みたいな旧仮名遣い。いまごろ気づいた)いくらなんでもシン・ゴジラの二番煎じ過ぎるので、これが最初から本決まりだったとは思えない。英語タイトルは「Evangelion:3.0+1.0 Thrice Upon a Time」と書いてある、Thriceって言葉は恥ずかしながら知らなかったんだけど、Once Twiceの次だなということは想像できました。でもなぜ3回目なんだ?

…さて。見てきましたよ、流行り物は熱いうちに歌舞伎町のTOHOシネマズ新宿で見る。何スクリーンも使っていて映画館全体が密で、席も間引きしてないので圧迫感すらありました。

ポイントをいくつか。

① 親子対決か。スターウォーズと同じすぎる完結編なのか。あっちにはなかったのが、妻・母(・綾波)をめぐるエディプス・コンプレックス。

② アスカの新しい苗字「式波」は、そういえば「綾波」と似てたな、とあとで思った。

③ エヴァンゲリオンって伝道師エヴァンジェリストみたいな名前で、使徒とかロンギヌスの槍とかキリスト教における神と人、というテーマがあるようだったけど、最終回ではそこはもう終わったことのようにスルーされて上記①に重点が移った。

④ ラストに大人になった明るいシンジとマリが出てきてみんなほっとしたけど、マリってアスカに比べるといまひとつキャラクターが不明瞭で、アスカを「式波」化するために必要になって作った感がある。(※この子の名前にも、ちなみに「波」がついてるんだけど)

⑤ 「Q」の感想に「テレビ版よりマイルドな表現」って書いたけど、今回は”くびちょんぱ”とかどきっとする場面がありましたよ。この映画って全年齢なの?表現はけっこう残酷だけど、つじつまの合わせ方が「大人」というかものわかりが良くて、スターウォーズには続編があってもエヴァンゲリオンにはもうないなと思わせました。

⑥ 東宝と東映のオープニングが両方あって驚いた。日本中の映画関係者がみんな絡みたがっている。もらったチラシを見ると、すき家、なか卯、はま寿司、ココス、Big Boyも関連メニューを出してる。日本中のレストランチェーンも絡みたがってる…。

⑦ 入場者特典?として列に並んで「ネタバレ注意」って書いた紙をもらったんだけど、よく見るとQRコードが載ってて「EVA Extra」ってアプリがダウンロードできた。AR機能がついてたり、エヴァストアで見せるとステッカーがもらえるクーポンとか表示できるみたいだけど、おばさんなのでグッズはいいかな(笑)

 

全体的には何しろものすごく力が入ってて熱量がすごい大作で、文句のつけようがないんだけど、一番インパクトあったのは眼帯を外した式波アスカの変貌かな…。そのあとの、絶滅しかかってたけど、マンガ「ゴールデン・ラッキー」を思わせる人間がわらわらわらわらと生れ落ちるのも、ひょえ~って感じでした。

ネタバレをあえて先に読んじゃう人もいると思うけど、私のてきとうな文章を読んだくらいでインパクトが弱まるようなヤワな映画ではありません。期待に胸を膨らませて、ぜひ熱いうちに劇場で見てください。

(20年前に私に”布教”したかつての友人、私が公開直後に歌舞伎町に見に行ったことを知ったら爆笑するだろうなぁ)