映画と人とわたし by エノキダケイコ

映画は時代の空気や、世代の感覚を伝え続ける、面白くて大切な文化だと思います。KINENOTEとこのブログに、見た映画の感想を記録しています。

黒沢清監督「スパイの妻」2912本目

 やっと見ました。黒澤清監督の作品は、わりと見てるけど私の琴線に触れるものと触れないものの差が大きい。この作品は高橋一生と蒼井優が二人ともイメージが固定してる気がして、あまり期待してなかったんだけど、国内外での評価がすごいので、自分の物差しが世間と一致するのかしないのか、というリトマス試験紙の実験のような視聴体験なのであります。

主役の二人は最初は予想通りな感じなのだけど、だんだん引き込まれていくのはやっぱり彼らの演技力なんだなぁ。ホラー映画の経験を生かしたような暗い画面がなかなか意味深で、見てる人の気持ちをくすぐるような魅力があります。ミステリアスなストーリーにも入り込んでしまいます。

BNetflixだってAmazonだって上映後のVODは自社の契約者を優先あるいは独占するのに、公共放送の受信料で作ったドラマをNHKの衛星2Kや地上波で放送せずに映画館にかけることを、どういうふうに理屈付けしたんだろう。

ただ、どんなに良いドラマを作っても海外の映画賞で評価される機会はゼロという事実を考えると、制作側のスタッフが希望をもって作り続けるためには、この実験も必要だったのかもしれません。

脚本はキネマ旬報の脚本賞の受賞の際にも見たけど、最近また話題の濱口竜介を含む3人。濱口竜介は私はかなり好きな映画人なので、彼の功績を過大評価したくてたまらない(実際の貢献度はわからないので、適切な評価をするのは多分ムリ)。

スパイの妻<劇場版>

スパイの妻<劇場版>

  • 発売日: 2021/03/03
  • メディア: Prime Video